年間約73万トン——これは、2022年時点で日本国内で使用後に手放された衣類の推定量です。過剰在庫やB品の処理は、廃棄コストと環境負荷の両面で企業の大きな課題となっています。一方で、新品市場は横ばいが続き、従来のビジネスモデルだけでは成長が見込みにくい時代に突入しました。
しかし、視点を変えれば大きなチャンスが見えてきます。国内のファッションリユース市場は2023年に1兆1,500億円を突破し、成長を続けているのです。消費者の価値観が「所有」から「循環」へとシフトする中、在庫やB品は「負債」ではなく「未活用の資産」へと変わりつつあります。
本記事では、最新の市場データをもとにリユース市場の将来性を解説し、在庫を利益に変える具体的な戦略をご提案します。
目次
拡大するアパレルリユース市場規模:なぜ今、ブランドが参入すべきなのか

アパレル業界を取り巻く環境は大きく変化しています。新品市場の成長が鈍化する一方で、リユース市場は驚異的な勢いで拡大を続けています。ここでは客観的なデータをもとに市場の現状を把握し、なぜ今ブランドがリユース市場へ参入すべきなのかを明らかにしていきます。
【2025年版】国内外の市場データに見る、新品市場との「成長率」の差
矢野経済研究所の調査によると、2023年の国内ファッションリユース市場規模は1兆1,500億円に達し、前年比113.9%という二桁成長を記録しました。2024年にはさらに1兆2,800億円(前年比111.3%)に拡大すると予測されています。
対照的に、新品のアパレル市場は長期的に横ばい傾向が続いています。この対比が示すのは、消費者の購買意欲そのものが減退しているわけではなく、「何に価値を感じるか」が変化しているということです。
海外では、この傾向はさらに顕著です。米国のリユースプラットフォーム「thredUP」のレポートでは、世界のリユースファッション市場は2028年までに3,500億ドル(約54兆円)規模に達すると予測されています。新品市場の成長率が年率2〜3%程度であるのに対し、リユース市場は年率10%を超える成長を続けています。
環境省も「令和6年度リユース規模市場調査報告書」で、リユース市場全体が2030年に4兆円規模に拡大する可能性を指摘しています。その中でもファッションカテゴリーは衣料・服飾品とブランド品を合わせて1兆円超の市場を形成しており、特に存在感が大きくなっています。
この成長率の差が意味するのは、消費者の財布が「新品」から「リユース品」へと明確にシフトしているという事実です。今こそリユース市場へ参入する絶好のタイミングだと言えます。
参考:矢野経済研究所|ファッションリユース市場に関する調査
参考:環境省|令和6年度リユース規模市場調査報告書
消費者は「新品」にこだわらない。SDGs意識が後押しする中古需要の正体
特にZ世代やミレニアル世代を中心に、「新品であること」の価値が相対的に低下しています。彼らにとって重要なのは、製品そのものの魅力や独自性、そして「どんな想いで作られ、使われてきたか」というストーリーです。古着や中古品は、大量生産品にはないユニークさを持ち、自己表現のツールとして積極的に選ばれています。
ある調査ではZ世代の約3人に1人がサステナブルファッションを認知しており、環境に配慮したブランドを選びたいという意識を持っています。ファッション産業は世界で2番目に環境負荷が大きい産業とも言われており、大量生産・大量廃棄のモデルに対する批判的な視線は年々強まっています。
ブランド側から見れば、この変化は大きなチャンスです。自社製品のリユース事業を展開することで、「環境に配慮した責任あるブランド」としてのイメージを構築できます。消費者との接点も、製品販売時だけでなく、買取や再販を通じて長期的に維持することが可能です。
SDGs意識の高まりは、企業にとって対応すべき「課題」ではなく、活用すべき「追い風」です。消費者が求める価値観とブランドの姿勢が一致したとき、強固な信頼関係が生まれます。
抱える「在庫・B品」は負債ではない。リユースが生む新たなキャッシュポイント

多くのアパレル企業が頭を悩ませる過剰在庫やB品。これまでは「処分しなければならないコスト」として扱われてきました。しかし、発想を転換すれば、これらは「眠れる資産」になり得るのです。
H3.廃棄コスト削減だけではない、「認定リユース」という収益モデル
従来、売れ残った在庫やB品は、廃棄業者に費用を支払って処分するか、格安で在庫買取業者に引き取ってもらうのが一般的でした。しかし近年注目されているのが、ブランド自身が運営する「認定リユース」というモデルです。
認定リユースとは、自社製品を回収・整備し、自社のチャネルで中古品として再販売する仕組みを指します。このモデルの最大の利点は、廃棄コストをゼロにするだけでなく、再販による収益を得られることです。
セレクトショップ「SHIPS」が展開する「SHIPS CYCLE MARKET」では、スタッフや顧客のクローゼットに眠る衣料品を検品・メンテナンスし、認定リユース品として再販しています。マーガレット・ハウエルの「MH RESELL」も、ブランドの理念である「長く愛用できるクオリティ」を体現した公式リユースの取り組みです。
これらの取り組みに共通するのは、単なる中古品販売ではなく、ブランドの世界観を保ったまま製品を次の顧客へつなぐという思想です。消費者は「ブランド公式」という安心感のもとで購入でき、企業側は顧客との接点を販売後も継続できます。
さらに、認定リユースは顧客生涯価値(LTV)の向上にも寄与します。一度製品を購入した顧客が、不要になったときにブランドに戻ってきて買い取ってもらい、また新たな製品を購入する。このサイクルを構築することで、長期的な収益基盤が確立されます。
参考:SHIPS CYCLE MARKET
参考:MH RESELL
B品・返品在庫を再流通させる際に壁となる「品質基準」と「ブランド保護」
認定リユースには大きな可能性がある一方で、実践する上での課題も存在します。最も重要なのが「品質管理」と「ブランド保護」のバランスです。
B品や返品在庫をそのまま市場に流せば、短期的な現金化は可能かもしれません。しかし、汚れや傷がある状態の製品が出回れば、ブランドイメージは大きく毀損します。そのため、どのレベルまで品質を担保するかという基準設定が不可欠です。
具体的には、徹底した検品、補修・再生、クリーニング・プレス、品質ランク付けといった工程が必要になります。これらの作業を社内で完結させるには、専門的な設備と技術を持った人材が必要です。
さらに、ブランド保護の観点からも注意が必要です。高級ブランドの場合、中古品が安価で出回ることで希少性が損なわれるリスクがあります。そのため、販売チャネルを限定したり、海外市場で展開したりといった工夫が求められます。
また、オンラインでリユース品を販売する場合、状態を正確に伝える写真と説明文が不可欠です。この「ささげ(撮影・採寸・原稿執筆)」業務が不十分だと、顧客からのクレームや返品が増加し、かえってコストがかさむことになります。
こうした課題をクリアするためには、専門的な知識と技術を持つパートナーとの連携が有効です。
「捨てない」選択肢を支えるハクホウの技術とSDGsへの誓い

リユース事業を成功させるには、品質管理という高い壁を越える必要があります。株式会社ハクホウは、「1着も無駄にしない」という理念のもと、アパレル製品の検品・補修・再生を一貫して手がける企業です。
【理念】「1着も無駄にしない」——99%断らない修繕で循環型社会へ
ハクホウの最大の特徴は、「依頼相談された案件は、可能性がある限り絶対に断らない」という姿勢です。この言葉は単なるスローガンではなく、現場の隅々まで浸透した企業文化となっています。
アパレル業界では、補修が難しい製品や特殊な素材の検品依頼が断られるケースも少なくありません。しかしハクホウでは、困難な案件であっても、チーム内で検討を重ね、解決方法を導き出す努力を惜しみません。
この背景にあるのは、「もったいない精神」と循環型社会への強い使命感です。「生まれてきた商品の製品寿命を可能な限り伸ばす」ことがハクホウのポリシーであり、問題がある商品でも廃棄に回すことなくよみがえらせて廃棄ロスを減らすという姿勢は、企業として一貫して守られています。
業界経験30年以上の専務をはじめ、各セクションにプロフェッショナルを配置することで、高難度の案件にも対応できる体制を整えています。顧客からは「最後の砦」という言葉をかけられることも多く、強い責任感を持って日々の業務に取り組んでいます。
【技術】B品をA品級へ再生。「ファッション・レスキュー」が描く未来
ハクホウの技術力は、単に「補修する」レベルにとどまりません。B品をA品級に引き上げ、商品価値を完全に復活させる——それがハクホウの真骨頂です。
専門スタッフが一着一着丁寧に状態を確認し、適切な補修を施すことで、新品同様の品質に仕上げることが可能です。ニット製品の編みキズや目落ち、汚れ落とし、デザイン変更、サイズ直しなど、多岐にわたる作業に対応しています。
さらに注目すべきは、X線検査設備の活用です。通常の検針機では感知できない異物や形状不良を発見できます。ある事例では、本来入っていなければならないパーツの欠損をX線検査で発見し、顧客から「品質だけではなくここまで見てくれるんですね」と感謝されました。
ハクホウが描く「ファッション・レスキュー」という構想は、単に製品を修理するだけでなく、アパレル業界全体の循環を支えるインフラになることを目指しています。新品と古着を組み合わせた製品づくりや、古着を補修して再販する二次流通のサポートなど、技術力を活用した幅広い取り組みを展開していく方針です。
検品・補修から再販まで。アパレルのサステナブル転換を一気通貫で支援
リユース事業を実践する上でもう一つ重要なのが、業務フローの効率化です。複数の業者を使い分けると、輸送期間のロスやコスト増、情報共有の煩雑さが発生します。
ハクホウの強みは、検品・補修・プレス・物流・保管を一社で完結できる一貫体制にあります。この体制により、コストと時間の削減、綿密な情報共有、柔軟な対応力が実現できます。
また、アパレル製品だけでなく、ぬいぐるみや抱っこひもなどベビー用品、バッグ、靴、小物など多様な商品に対応可能です。生産国も中国、東南アジア、インド、欧州と幅広く、それぞれの製品特性に合わせた検品・補修ができます。
ハクホウは大手企業の認定制度も多数取得しており、QTEC認定工場としての品質保証体制も整っています。事務スタッフの対応力も高く評価されており、単なる作業の発注先ではなく、製品完成までの一部を担うチームの一員として機能しています。
まとめ:市場の波に乗り、在庫を価値ある資産へ
アパレルリユース市場は今まさに成長の真っただ中にあります。新品市場が横ばいを続ける中、リユース市場は年率10%を超える勢いで拡大し、2030年には4兆円規模に達すると予測されています。
この市場環境の変化は、アパレル企業にとって大きなチャンスです。これまで「処分コスト」だった過剰在庫やB品は、適切な品質管理と再販戦略によって、新たな収益源に生まれ変わります。認定リユースというモデルを通じて、廃棄コストをゼロにするだけでなく、顧客との長期的な関係構築やブランド価値の向上も実現できるのです。
しかし、リユース事業の成功には品質管理という高いハードルがあります。だからこそ、信頼できるパートナーの存在が重要になります。株式会社ハクホウは、「1着も無駄にしない」という理念のもと、99%断らない姿勢で高難度の案件にも対応し、B品をA品級に再生する技術力を持っています。
リユース市場への参入は、もはや「検討すべき選択肢」ではなく、「待ったなしの戦略」です。在庫を負債から資産へと転換し、サステナブルな企業として次世代の消費者から選ばれるブランドになるために、まずは一歩を踏み出してみませんか。在庫活用やリユース事業立ち上げについてのご相談は、ぜひハクホウへお問い合わせください。