アパレル製品の製造を検討されている担当者の方や、これからご自身のブランドを立ち上げようと考えている方にとって、製品の品質は非常に重要な要素です。しかし、製造過程で「縫製不良」という問題に直面する可能性があります。縫製不良は製品の見た目だけでなく、耐久性や着心地にも影響を及ぼし、ブランドイメージを損なうことにもつながりかねません。

この記事では、縫製不良の具体的な種類や、もし縫製不良が見つかった場合の適切な対応方法について詳しく解説します。この記事を読めば、縫製不良に対する理解が深まり、万が一の事態にも冷静かつ迅速に対応できる知識が身につくでしょう。

縫製不良とは？

縫製不良とは、衣類や布製品の縫製工程において、本来の品質基準を満たさない状態が発生することを指します。製品の見た目の美しさを損なうだけでなく、着心地や耐久性にも大きな影響を与えるため、アパレル業界では特に注意が払われています。高品質な製品を提供するためには、縫製不良の発生を最小限に抑えることが不可欠であり、そのためには不良の種類や原因を正しく理解することが重要となります。

縫製不良の種類にはどのようなものがある？

アパレル製品における縫製不良には、さまざまな種類が存在します。それぞれの不良には特有の原因があり、対処法も異なってきます。ここでは、代表的な縫製不良の種類について、具体的な特徴と発生原因を詳しく解説していきます。これらの知識を身につけることで、品質管理の向上につながるでしょう。

ほつれ

ほつれは、縫い目の一部に穴が開いたような状態で、糸が解けて縫製部分が開いてしまう現象です。製品を手に取った際、縫い目から糸が飛び出していることで気づくケースが多く、最も発見しやすい縫製不良の一つといえるでしょう。

ほつれが発生する主な原因として、作業員の縫い忘れが挙げられます。大量生産の現場では、効率を重視するあまり、縫製の最終確認が疎かになることがあります。また、ミシン糸が縫製途中で切れてしまい、そのまま気づかずに次の工程へ進んでしまうケースも少なくありません。さらに、縫い始めや縫い終わりの返し縫いが不十分な場合、使用中に糸がほどけてしまうこともあります。

縫い目の歪み

縫い目の歪みは、本来まっすぐであるべき縫い目が曲がっていたり、生地が引きつれて波打っている状態を指します。見た目の美しさを大きく損なうため、消費者からのクレームにつながりやすい不良です。

この歪みが発生する原因は複数考えられます。縫製時に生地を無理に引っ張りながら縫うことで、完成後に生地が元に戻ろうとして歪みが生じることがあります。ミシンの糸調子が適切でない場合も、上糸と下糸のバランスが崩れて縫い目が歪む原因となります。作業員の技術不足により、カーブや角の部分で適切な縫製ができないケースも見受けられます。

ボタンの外れ

ボタンが取れている、または数回の着用で簡単に外れてしまう状態も、重要な縫製不良として認識されています。購入直後にボタンが取れていれば明らかな不良品ですが、短期間の使用で外れる場合も初期不良として扱われることが多いでしょう。

ボタンが外れる主な原因は、縫い付け時の糸の処理が不適切であることです。特に、糸の玉止めが甘い場合、わずかな力でも糸がほどけてしまいます。使用する糸の強度が不足している場合や、ボタンホールに対してボタンのサイズが適切でない場合も、外れやすくなる要因となります。機械によるボタン付けでは、設定ミスによって十分な強度が確保されないこともあります。

生地の破れ

生地の破れは、縫製箇所やその周辺で生地自体が裂けたり、穴が開いたりする状態を指します。製品の機能性を著しく損なうため、重大な縫製不良として扱われます。

縫製時の強度不足が主な原因として挙げられます。針が太すぎたり、縫い目の間隔が不適切だったりすると、生地に過度な負担がかかり破れにつながります。デリケートな素材を扱う際に、適切な針や糸を選択しなかった場合も、生地を傷める原因となります。保管状態が悪く、生地が劣化している場合には、通常の縫製でも破れが生じやすくなります。縫製時に生地を巻き込んでしまい、その部分に過度なテンションがかかることで破れが発生するケースもあります。

縫製不良が見つかった際の対応とは？

縫製不良が発見された場合、迅速かつ適切な対応が求められます。初動の遅れは被害を拡大させる可能性があるため、事前に対応手順を明確にしておくことが重要です。ここでは、縫製不良発見時の具体的な対応方法について解説していきます。

縫製工場などへの連絡

縫製不良を発見した際、最優先で行うべきは関係各所への速やかな連絡です。まず縫製を行った工場に状況を詳細に報告し、同様の不良が他の製品にも発生していないか確認を依頼します。並行して、納品先の小売店やECサイトの運営者にも連絡を取る必要があります。

既に店頭で販売が開始されている場合、不良品が消費者の手に渡っている可能性があります。このような状況では、販売の一時停止や在庫の確認など、被害を最小限に抑えるための措置が必要です。連絡の際は、不良の種類、発見された数量、該当するロット番号などの情報を正確に伝えることで、スムーズな対応が可能となります。早期の情報共有は、ブランドの信頼性を守る上でも極めて重要な要素といえるでしょう。

迅速に修理を行う

縫製不良が確認された製品については、可能な限り早急に修理を実施することが大切です。多くの縫製不良は、適切な修理によって製品価値を回復させることができます。ほつれや縫い目の歪みなどは、熟練した技術者による補修で、新品同様の状態に戻すことも可能でしょう。

修理作業には、専用の道具や機械が必要となることがあります。たとえば、業務用ミシンや特殊な針、補修用の生地など、プロフェッショナルな環境を整えることで、効率的かつ確実な修理が実現します。大量の不良品が発生した場合には、修理専用のラインを設けることで、通常の生産に影響を与えることなく対応できます。修理によって製品を再び市場に流通させることができれば、廃棄による損失を最小限に抑えることにもつながるでしょう。

プロに依頼するべき縫製不良の特徴とは？

縫製不良の中には、自社での対応が困難なケースも存在します。専門的な技術や設備が必要な場合、修理のプロフェッショナルに依頼することで、確実な品質回復が期待できます。以下では、プロへの依頼を検討すべき縫製不良の特徴について説明します。

複数の不良がある場合

一つの製品に複数の縫製不良が発見された場合、修理作業は複雑になります。ほつれと縫い目の歪み、ボタンの外れなど、異なる種類の不良が組み合わさっていると、それぞれに適した修理方法を選択し、順序立てて作業を進める必要があります。このような複雑な修理は、経験豊富なプロに任せることで、確実な仕上がりが期待できるでしょう。

自社内で対応しようとすると、専用の修理ラインの構築や、技術者の育成など、多大なコストと時間がかかります。特に、アパレル事業を始めたばかりの企業にとっては、大きな負担となりかねません。修理専門業者に依頼することで、これらの負担を軽減し、本来の事業活動に集中することができます。プロの技術者は、効率的な作業手順を熟知しているため、短期間で高品質な修理を実現してくれるでしょう。

特殊な素材・厚手の素材の不良の場合

シルクやカシミヤといった高級素材は、その繊細さゆえに扱いが非常に難しく、修理にも特別な配慮が必要です。これらの素材は、わずかな力加減の違いで生地を傷めてしまう可能性があるため、豊富な経験と専門知識を持つプロに任せることをおすすめします。適切な温度設定のアイロンや、素材に合わせた特殊な糸の選択など、細やかな配慮が求められます。

一方、デニムやレザーなどの厚手の素材も、修理には専門性が求められます。家庭用ミシンでは針が通らないことも多く、業務用の強力なミシンや専用の針が必要となります。革製品の場合は、縫い直しによる針穴が目立つため、特殊な技術で目立たないように仕上げる必要があります。これらの作業は、専門の設備と技術を持つ修理業者に依頼することで、元の品質を損なうことなく、確実な修理が可能となります。素材の特性を理解したプロフェッショナルによる修理は、製品の価値を維持する上で欠かせない選択といえるでしょう。

ハクホウでは検品から補修までを一括で行っています

縫製不良は、アパレル製品の品質と信頼性に直結する重要な問題です。本記事では、縫製不良の種類から発生時の対応方法まで、実践的な知識をお伝えしてきました。適切な知識と迅速な対応により、縫製不良による損失を最小限に抑えることが可能となります。

ハクホウでは、アパレル製品や服飾品の検品・検針から不良品の補修まで、すべての工程を自社内で一括して行っています。不良の発見から補修完了まで、ワンストップでスピーディーに対応できる体制を整えており、お客様の大切な製品の品質維持をサポートいたします。縫製不良でお困りの際は、ぜひハクホウにご相談ください。