納品前のニット製品に、穴あきやほつれ、編みキズなどの不良が見つかり、検品と補修をまとめて依頼できる業者を探している方も多いのではないでしょうか。ニットは編み目の構造が複雑で、不良の種類によって検品方法や補修の可否が異なります。
この記事では、代表的な不良の原因、検品時の注意点、補修技術、専門業者の選び方を解説します。B品の発生を抑え、納期と製品価値を守りたいアパレル事業者や輸入業者に役立つ内容です。
目次
ニット製品の品質管理における検品と補修の重要性

ニット製品の品質管理では、不良品を検品で除外するだけでなく、補修によって販売可能な状態へ整えられるかを見極めることが重要です。ニットは糸のループを連続させて作られており、目落ちや地糸切れが起きると、穴やランが広がる場合があります。
検品で不良品を除外するだけでは、販売可能数が減り、値下げや廃棄による損失につながります。一方、編みキズや目落ちを早期に発見し、適切に補修できれば、B品の削減や納期への影響の抑制が期待できます。
本記事では、個別の修理方法ではなく、不良の見極めから補修、良品化までの品質管理全体を解説します。 検品と補修を一体で運用することが、製品価値とブランドへの信頼を守るうえで欠かせません。
ニット特有の代表的な不良種類と発生原因

ニット製品の検品では、縫い目や汚れだけでなく、ループの並びや表面の筋、糸の飛び出しなども確認します。代表的な不良は次の4種類です。
- 編みキズ・編みムラ
- 目落ち・目飛び
- 編み段
- たるみ・ループ浮き
見え方が似ていても、糸のばらつき、給糸条件、編み針の異常、完成後の引っ掛けなど、発生原因は異なります。原因を見極めて補修の可否を判断することが、B品の削減につながります。
特に目落ちや地糸切れは、着用や洗濯時の力によって穴やランが広がる場合があります。早期に発見できれば、補修跡を目立ちにくく仕上げられる可能性があります。
① 編みキズ・編みムラ
ニットの編みキズとは、編み目の欠損や乱れによって、穴、筋、目開きなどが生じた状態です。糸切れや糸の太さのばらつき、編み針の損傷、給糸張力や編機設定の不具合などが原因として考えられます。
編みムラは、編み目の大きさや密度が部分的にそろわず、表面が均一に見えない状態です。色の違いが目立つ場合は、糸ロットの差や染色ムラが関係している可能性もあるため、外観だけで原因を決めつけないことが大切です。
検品では、製品を平らに広げ、定めた照明と距離で全体を確認した後、気になる箇所を近くで見ます。透過光を使える検品台では、穴や目落ちなどを見つけやすくなります。良品見本や限度見本と比較し、判定のばらつきを抑えることも重要です。
② 目落ち(ドロップ)・目飛び
目落ちは、編み針に保持されるはずのループが外れ、編み目が抜けた状態です。よこ編みでは、外れた目や地糸切れを起点に編み目が連続してほどけ、穴やランが広がる場合があります。
また目飛びは、編成時に針が糸を取り込めず、本来作られる編み目が形成されていない不良です。ただし、アパレル検品では、縫製時に縫い目が形成されない状態も「目飛び」と呼ぶため、不良箇所が編地か縫い目かを区別して記録します。
ニットの目落ちや目飛びを見つけた際は、飛び出した糸を引っ張ったり切ったりせず、補修担当者へ回すのが有効な対策です。損傷範囲や編み組織、共糸の有無によって仕上がりは異なるため、完全に元通りになると断定せず、現物を見て補修の可否を判断しましょう。
③ 編み段(横段・縦段)
編み段は、ニット特有の不良の一つで、編地の横方向または縦方向に、筋や帯状の色差、凹凸が現れる不良です。横段は、給糸張力やループ長の変動、糸の太さ・撚り・染着性の違い、異なる糸ロットの混用などによって生じる場合があります。
縦方向の筋は、特定の編み針や針溝の異常、針の動きのばらつきなどが原因となり、同じウェールに沿って現れることがあります。ウェールは編み目が連なる縦方向の列、コースは横方向の列です。
検品では、製品全体を一定の距離から見て筋の連続性を確認し、近くで編み目や色の状態を調べます。編み目の不均一は段消しで目立ちにくくできる場合がありますが、糸ロット差による色差は部分補修では解消しにくいため、原因と範囲を踏まえて判定します。
④ たるみ・ループ浮き
ニットの不良として見られるたるみは、一部のループが周囲より大きくなり、編地の表面が緩んだり波打ったりして見える状態です。給糸量や張力のばらつき、編み目密度の不均一、リンキングや縫製時に加わった力などが原因として考えられます。
ループ浮きは、編地の表面からループ状に糸が突出した状態です。編成時の不具合だけでなく、輸送や着用、検品中に突起物へ引っ掛かって生じる場合もあり、後者はスナッグと呼ばれます。
飛び出した糸を表面で切ると、糸切れや穴につながるおそれがあります。検品担当者がその場で切除せず、編地の裏側へ戻せるか、周囲の目を整えられるかを補修担当者が確認します。素材や編み組織によって補修跡の見え方が異なるため、試験補修後の仕上がりを基準に判定することが大切です。
検品前に知っておくべきニットの基礎知識と編み目構造

ニットの検品と補修では、編み組織ごとの正常な外観を理解することが重要です。ニットの縦方向に連なるループ列をウェール、横方向の列をコースと呼び、一定範囲の列数は編地の密度を示す「度目」として管理されます。一方、ゲージは編機の針床1インチ当たりの針数であり、編地の密度と同じ意味ではありません。
- 天竺:表裏の見え方が異なる基本組織です。編み目の乱れや斜行、端の丸まりを確認します。
- リブ:表目と裏目を交互に並べた伸縮性の高い組織です。畝の乱れや目の緩みを確認します。
- 鹿の子:平編みをベースにタック編みを配置し、細かな凹凸を作る組織です。凹凸の欠けや並びの乱れを確認します。
補修の難易度はゲージだけでなく、糸の太さや素材、柄、損傷範囲、共糸の有無によっても変わります。保管前の検品や虫食い補修については、「大切なニットを虫食いから守る!プロが実践する保管前検品と失敗しない保管・補修の完全ガイド」もご覧ください。
「カットソー」と「成型ニット(セーター)」の検品ポイントの違い

カットソーと成型ニットでは製造方法が異なるため、検品時に重点を置く箇所も変わります。カットソーは反物状の編地を裁断して縫製するのに対し、パーツ成型ニットは身頃や袖の形に編み立てた部品を、リンキングなどで接合して仕上げます。
| 項目 | カットソー | パーツ成型ニット |
|---|---|---|
| 製品構造 | 編地を裁断して縫製 | 形に編み立てた部品を接合 |
| 主な確認箇所 | 裁断方向、縫い目、縫い代 | 編み目、増減目、リンキング |
| 主な不良 | 目飛び、縫い外れ、パッカリング | 編みキズ、目落ち、接合部のほつれ |
| 寸法確認 | 身丈・身幅、脇や裾のねじれ | 部品寸法、左右差、接合後の形状 |
パーツ成型ニットでは、リンキング部分の目のずれや縫い外れ、糸始末の不備を表側と裏側の両方から確認します。接合部の不良は外観だけでなく、着用時のほつれや強度不足につながる可能性があるためです。
一方、カットソーでは、縫い代の幅や縫い目の伸び、裁断方向、脇や裾のねじれを重点的に確認します。無縫製で編み上げる成型ニットもあるため、製品の仕様書や縫製方法を確認したうえで検品項目を設定することが大切です。
リンキングを含むニット製品の不良を見極める際は、編み組織や損傷範囲に応じた補修方法も把握しておく必要があります。保管前検品のポイントや穴あき・ほつれへの補修例については、「大切なニットを虫食いから守る!プロが実践する保管前検品と失敗しない保管・補修の完全ガイド」も参考にしてください。
ニット製品で押さえておきたい安全性の確認項目

アパレル製品の品質管理では、外観や縫製だけでなく、着用者に危害を与えるおそれがないかを確認する必要があります。PL法は認証制度ではなく、製品の欠陥によって生命、身体または財産に損害が生じた場合の製造業者などの賠償責任を定めた法律です。特定の試験に合格すれば足りるというものではないため、製品ごとのリスクに応じた検品と記録管理を行います。
ニット製品で主に確認する項目は次のとおりです。
- 折れ針や金属片の混入を確認する検針
- ボタンや装飾パーツの取り付け強度
- 鋭利な部品や縫い代の飛び出し
- 取扱表示や注意表示の内容
なお、子供服やベビー服のニットを扱う場合は、ひもに関するJIS規格「JIS L 4129」や、出生後24か月以内の乳幼児用衣料に適用されるホルムアルデヒド規制など、確認すべき基準が増えます。対象範囲や基準値、検査の進め方は「子供服・ベビー服の検品基準とは?安全基準を徹底解説」で詳しく解説しています。
ニットの品質を左右する「寸法安定性テスト」とは?

寸法安定性テストとは、洗濯、ドライクリーニング、プレスなどの処理前後で寸法を測り、伸びや縮みを確認する試験です。ニットは伸縮しやすいため、身丈や身幅が規格内でも、洗濯後に縮み、伸び、斜行、型崩れが生じる場合があります。
試験方法は取扱表示に合わせ、処理後に調湿して同じ位置を測定します。寸法変化率は次式で算出し、ニットの検品項目ごとに処理前後の変化を確認するのが基本です。
寸法変化率(%)=(処理後の寸法-処理前の寸法)÷処理前の寸法×100
| 主な確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 身丈・着丈 | 縦方向の縮みや伸び |
| 身幅・裾幅 | 横方向の縮みや広がり |
| 袖丈 | 左右差や長さの変化 |
| 衿ぐり・リブ | 伸び、波打ち、戻り |
| 外観 | 斜行、型崩れ、縫い目の変形 |
QTECが定める品質基準では、セーター類・カットソー類の洗濯後の寸法変化率として、タンブル乾燥のよこ編みはマイナス8%から0%、吊り干しまたは平干しはマイナス6%からプラス5%とされています。プレス後は±3%以内です。ただし、一律の法定基準ではないため、自社基準や仕様書に基づいて合否を判定します。
出典:
QTEC「QTEC品質基準(QTEC95-S01)」2022年1月1日版
プロが実践するニットの高度な補修技術(修繕方法)

ニットの補修では、穴を単に縫い合わせるのではなく、損傷した編み目を周囲の組織になじませながら整える技術が求められます。代表的な方法は、崩れたループを拾い直す「編み目の復元」と、共糸などを使って穴やキズを補う「かけはぎ」です。
補修方法は、目落ち、糸切れ、虫食い、リンキング部分のほつれなど、不良の種類や範囲によって異なります。素材やゲージ、柄、共糸の有無によっても仕上がりが変わるため、現物を確認したうえで適切な技法を選ぶことが重要です。
ハクホウでは、検品で見つかった不良を補修と再検品へつなげる体制を整えています。ここでは、ニットの編み直しとかけはぎの特徴を紹介します。
編み目の復元(編み直し)
ニットの編み直しは、目落ちや糸切れによって崩れたループを1目ずつ拾い直し、周囲の編み組織になじませる補修方法です。リンキング部分のほつれにも、残っている編み目の状態を確認しながら対応します。
作業前には、天竺やリブなどの組織、ゲージ、糸の通り方、損傷範囲を確認します。そのうえで細い補修針などを使ってループを順番に拾い、必要に応じて製品から確保した共糸を補います。
補修後は、周囲との編み目の大きさや張力を整え、プレスと再検品を行います。仕上がりは素材や損傷状態によって異なるため、量産品では試験補修を行い、補修見本を基準に判定することが大切です。
かけはぎ(織り込み・極小補修)
かけはぎは、穴や糸切れが生じた部分に共糸などを補い、周囲の組織になじませる補修方法です。一般には織物の補修で使われる名称ですが、ニットでは「かけつぎ」や「編み修理」など、業者によって呼び方や作業方法が異なります。
小さな虫食い穴や糸切れでは、製品の縫い代などから確保した共糸を使うと、色や風合いの差を抑えやすくなります。ただし、柄物や細かなゲージ、起毛素材、広範囲の損傷では、補修跡が残る場合があります。
セーターのほつれ補修を業者へ依頼する場合の費用や納期は、穴の大きさや箇所数、素材、編み組織、共糸の有無、依頼数量によって変わります。
【現場の基準】補修が難しい不良を見極めるポイント

アパレルの品質管理では、ニットをB品と判定する基準を、穴の大きさだけで決めることはできません。糸や編み組織の状態、共糸の有無、補修後に必要な外観・強度を満たせるかを確認し、仕様書や品質基準に照らして判断します。
補修が難しい代表例は次のとおりです。
- 熱や薬品で糸が溶け、周囲の強度も低下している
- 広範囲で編み目や柄が崩れている
- 糸ロットの違いによる色差が編地全体に出ている
- 共糸がなく、代替糸との差が目立つ
- 補修後も規定の外観や強度を満たせない
- 作業費や納期を含めると再生産のほうが合理的である
広範囲の編み段や色差は、部分的な段消しでは規格内に戻せない場合があります。一方、損傷が大きく見えても、編み目や共糸が残っていれば補修できる可能性があるため、検品担当者だけでB品と決めないことが重要です。
量産品では試験補修を行い、仕上がりをブランド担当者が確認します。A品・補修品・B品の境界を限度見本として共有すれば、判定のばらつきを抑えられます。
ハクホウのニット検品・補修サービスが選ばれる理由

ハクホウのニット補修サービスが選ばれる理由は、ニット製品の検品、補修、プレスから物流・保管までを一社にまとめて依頼できるワンストップ体制です。検品で編みキズや目落ちが見つかった際も、別会社へ再手配する工程を減らし、補修の可否判断と作業へつなげられます。
ハクホウでは、専門スタッフが編みキズ、目落ち、リンキングのほつれ、汚れ落とし、サイズ直しなどに対応しています。主な特徴は次のとおりです。
- 表示、採寸、外観、内観、機能を検品できる
- 不良内容に応じて補修の可否を判断できる
- 補修後の仕上げプレスまでまとめて依頼できる
- 物流や保管、出荷業務まで連携できる
検品会社を選ぶ際は、料金だけでなく、ニット補修の実績、対応可能な不良、再検品の方法、納期、報告体制を確認することが大切です。
まとめ:確かな検品と補修技術でニットの製品価値を守る
ニットの品質管理では、目落ちや地糸切れなどの不良を早期に発見し、補修によって販売可能な状態へ整えられるかを判断することが重要です。ニットの検品・補修を適切に行えば、穴やランの拡大を防ぎ、B品の削減につなげられます。
品質管理の基準には、編み組織、寸法変化、安全性、補修後の外観や強度を含めます。試験補修品や限度見本を共有することで、担当者ごとの判定のばらつきも抑えやすくなります。
自社での対応が難しい場合は、ニットの検品と補修を一括で扱う専門業者への相談が有効です。ハクホウのワンストップ体制を活用すれば、再手配の負担を抑えながら、納期と製品価値を守るための品質管理を進められます。